読録 3 “神谷宗幣 ~ 坂本龍馬に学ぶ「仲間をつくる力」 ~ “

読録 2017年 第3号は神谷宗幣さん著書の 坂本龍馬に学ぶ「仲間をつくる力」 という本についてです。

個人的全体評価: (4.5/5)
読みやすさメーター: (4.5/5)
語彙の難しさメーター: (2/5)
ドキドキメーター: (4/5)
新しい価値観メーター: (4.5/5)
説得力メーター: (4.5/5)

この本に自分でタイトルをつけるならズバリ: 「平成の坂本龍馬」になるために必要な力

著者: xx

1977年、福井県生まれ。関西大学文学部史学地理学科卒業後、家業のスーパー経営と高校の教師を兼任。2007年、29歳で吹田市市議会議員に当選し、2012年からはCGS(Channel Grand Strategy)という日本の歴史に特化したオンライン塾を立ち上げ現在に至る。2010年には坂本龍馬プロジェクトを立ち上げており、現代版の「船中八策」こと「国是十則」を掲げ日本のビジョンを作っていくことを目標に活動している。個人的な話をさせていただくと、夢を語れの西岡津世志さんの紹介で会うことができた方。

読書に至ったキッカケ

以前読録で取り上げさせていただいた神谷宗幣さん著書の本です。

龍馬プロジェクトの会長として、全国を回り現代日本の”志士”約250人の政治家や企業人を集め活動している神谷さんですが、坂本龍馬の名を借り「龍馬プロジェクト」を創始しただけあり、坂本龍馬についてとても詳しいです。

私が2017年の個人プロジェクトとして坂本龍馬の勉強を始めた時に神谷さんに縁があって出会った、という話は以前ブログで紹介しました。

その際に、「とりあえず『竜馬がゆく』」を読んで坂本龍馬について詳しく知りたい!」と話したところ、

「竜馬がゆくは、面白くて自分もファンだが、あくまでも小説なので坂本龍馬の実像は正しく描かれていない。真の龍馬像について知りたいなら、文献などに基づいて私が坂本龍馬の一生について私がまとめた本があるから、それを先に読むと『竜馬がゆく』をより深く楽しめるよ」

と教えて下さいました。

それがこの本と出会ったきっかけです。

要約

本書は題名の通り、坂本龍馬の「仲間をつくる力」に焦点を当てて展開されています。

竜馬の仲間をつくる力を、坂本龍馬の一生を辿りながら時系列に沿って紹介してくれていますので、坂本龍馬がどのような32年の生涯を送ったのかを知りたい人にとっても、うってつけの本となっております。

さて、本書ではそんな坂本龍馬の「仲間をつくる力」を5つのポイントに分けて論じています。

1. 行動力・決断力

坂本龍馬には、黒船到来の直後、西洋流砲術家の佐久間象山の塾に入門したりなど、危機感を抱くと現状打破のために自ら事を起こす行動力がありました。

また、当時剣術に明け暮れていた龍馬が江戸から故郷土佐に戻り、河田小龍のもとに弟子入りした際は、海軍を持つことの重要性を説かれ、「異人の首をとってくる」と剣術頼りに鍛錬してきたにも関わらず、コロリと海軍の発想を受け入れました。

長州で久坂玄瑞に会ったときは、国益のためなら藩など滅んでもいいではないか、との大胆な発想に感化され、そのおよそ1ヶ月後に土佐勤王党をよそに脱藩してしまいました。

いいと思ったものは素直に取り入れ、知らず知らずにその人も自分の応援団の一員にしてしまう。

その素直さがあったからこそ、天下を動かす偉人になれたのではないでしょうか。

その行動力や決断力の源泉にあったものが、自由な家庭環境で養われた固定概念に縛られない柔軟性、そして「いい」と賛同するものはどんどん取り入れる共感力です。

2. 情報力

正しく的確な判断を下し続けるためには、より多くのインフォメーションを持っていることが肝要です。

龍馬は脱藩したことにより、土佐一国にとどまらず勝海舟の門下に入ったり、長州の桂小五郎、薩摩の西郷隆盛、越前の松平春嶽などの志士たちと交流することにより、誰よりも多くの情報を得ていました。

だからこそ大政奉還を成功させたりなど、世を動かすことができたのです。

自分の足で歩き回り、培ったネットワークとそこから得た情報がなければ成し遂げれなかった業です。

3. 経営マインド

「才谷屋」という商人の分家でもあった坂本家に生まれた龍馬には、一般の武士は持ち合わせていなかった経営マインドが備わっていました。

「名誉だけでは食っていけないないし、世の中も動かない。実益を兼ね備えてこそ、初めて人も世の中も動く」

そのような考えを持ち備えていたようです。

勝海舟とともに創設した海軍操練所は、船を借りて参勤交代などの手伝いをし、石炭を操練局で販売し運営に当てる、など商売の色が強かったようです。

また、坂本龍馬といえば日本で初めての株式会社と言われる「亀山社中」を長崎に立ち上げたことでも有名ですが、これは武器販売を商売にしていたれっきとしたビジネスです。

このようにアイディアマンであり、営業力もあった龍馬は多くのモノ、金、人を巻き込むことができました。

また、海援隊の持ち船が水没するなどして経営難に陥ったときも、持前の営業力を生かし岩崎弥太郎(のちの三菱財閥の創業者になった人)などから資金を得るなど、いわゆるスポンサー集めも巧みにこなし、数十人いた部下にも給料を支払えていたので、部下を失うことはありませんでした。

また、海援隊のいろは丸が紀州藩の明光丸と衝突を起こした際は、情報戦を見事に展開し、桂小五郎や西郷隆盛に後ろ盾になってもらうよう連絡を入れたり、芸者に海援隊を応援し紀州藩を責める唄を歌わせたりなどし、他藩や世論を味方につける「PR活動」をしました。

このように、現代でも必要とされる経営マインドやPR力を発揮し、龍馬は「利」の力も使い味方を増やしていきました。

4. 不屈の精神

海軍操練所が幕府によって閉鎖されたとき、亀山社中が購入したワイルウェフ号が1回目の航海で水没したとき、そして薩長同盟の交渉を西郷隆盛がすっぽかしたとき、坂本龍馬はへこたれずに信念をもって前進し続けました。

失敗が続いてもめげずにいられたことの理由の一つに、常に信じてついてくる仲間がいたことが挙げられます。

海援隊が経営難で給料を払うのが難しい状況に陥ったときも、龍馬の部下は決して彼を見捨てませんでした。

また、家族に迷惑をかけ、自分の財産を捨ててまでも脱藩に至ったほど坂本龍馬はリスクテイカーでした。

公のためには、リスクを顧みずにどんどんチャレンジしていく。

神谷さんは、能力を持った人ほどリスクを冒す勇気を持ち、「平成の坂本龍馬」になってほしい、と訴えかけています。

5. 志を持つ

龍馬に限らず、当時の幕末の志士たちは黒船到来から続く異国からの危機に対し

「命をかけて日本の自立を守る事、愛する人を守ること」

という志を共有していた、と言います。

また、世界観を持ちより高い志を持つためには、歴史軸でものごとをとらえ自分の座標軸を知ることが必須であり、未来を築くためには歴史をまず学びルーツを知ることが大事だとしています。

所感

この本を読むまで、坂本龍馬=政治家だと思っていたのですが、どちらかというと経営者としての功績の方が多かった事に驚きました。

国を動かすのに一番てっとり早いのは、政治家になって法を変えたりすることですが、龍馬のように企業経営を通して国を揺さぶることもできるのですね。

また、リスクを恐れず自分の信念を貫き通す生き様には、就活中の自分にとって思うところがありました。

「平成の坂本龍馬」になり日本を引っ張っていくには、まず歴史を知ることが大事だということもわかりました。

応用

  1. 幕末から順に近現代史を勉強しなおす
  2. 情報を集めるということで、年始に立てた2ヶ月に1度の国内旅行を必ず実施する

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