読書記録、略して”読録”第26号は為末大著書の 諦める力 という本についてです。
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この本に自分でタイトルをつけるならズバリ: 諦めるのではなく、明らめて選択する。
(本書で、為末さんは諦めるの語源は「明らめる」にあり、その意味は<明らかにして、置かれた現状を悟ること>とあり、決してネガティブなものではなかった、と記載していたため)
著者: 為末大
言わずと知れた、オリンピアン。400mハードルの日本記録保持者で、2000年から3大会連続五輪出場。世界陸上では2度銅メダルを獲得している。1978年、広島県出身で、選手引退後は一般社団法人アスリート・ソサエティ、為末大学などを通じて、スポーツと社会、教育に関する活動を幅広く行っている。 |
読書に至ったキッカケ
シーズンを終え、2016年も終わりに近づき、「Jリーガーになる」という夢にむかって今後もサッカーを続けようか、迷っていました。
そんなとき、チームメイトの佐々木広樹くんが、「今のこばくんにピッタリの本を知ってる」といって紹介してくれた本が、この本でした。
題名が「諦める力」であることから、佐々木くんは僕に「選手になるの諦めたら?」と勧められているのか、と最初は思いましたが、読み進めていくうちにそんな単純な話ではなかったことに気付きました。
佐々木くんに勧められた翌日に、本屋に行って即買ったこの本、読んでみるととても面白かったです。
また、サッカーを続けるか否かの決断を下すにあたって、勇気を与えてくれました。
ですので、この本の著者の為末大さんと、佐々木広樹くんには感謝しています。
要約
「目的」を諦めるのではなく、「手段」を諦める。
そして、勝つために、戦略的に「選択」する
この本のメッセージを簡潔に要約すると、この2文にまとめることができます。
「目的」を諦めるのではなく、「手段」を諦める。
為末さんが、諦めてもいい、といっているのは「目的」のことではなく、「手段」のことです。
為末さんにとっての「目的」は、勝負に勝つこと。つまり、陸上競技で1位になることで、かつて日本人が誰もやってこなかったことを成し遂げ、世の中の人をビックリさせてインパクトを与えること、です。
そしてその、陸上競技で1位になる、という「目的」を達成するための「手段」が初めは100m走でした。
しかし、身長が伸びず肉離れも多かった為末選手は、花形種目であった100mを諦め、400mハードル走に転向します。
これは、400mハードル走の方が為末さんにとって適性であったとの感触があったことと、100m走より競争率が低かったことが理由です。
このように「目的」を見失ってさえいなければ、その目的を達成するために使う「手段」、つまり目的地へ辿り着くためのルートは幾通りもあるので、自分に最適なものを「選択」していけばよいのですね。
勝つために戦略的に「選択」する
今の自分の力で「やりたいこと」をやるのか、それとも「できること」をやるのか、どちらを取るかということだった。塾考した結果、最も諦めたくなかったのが「勝負すること」だった – p.154
為末さんは、「諦める」という言葉を「選び直す」「修正する」という言葉に置き換えて捉えている、と言っています。
「努力すれば夢はかなう」という価値観を日本人は大切にしますが、彼はそれは危険な発想でもある、と言っています。
実際、彼の陸上人生の中で、勝ち目が限りなく小さい勝負に果敢に立ち向かったものの、うまくいかず気づいたら人生の選択肢が少なくなってしまっていた、という人を山ほど見てきたそうです。
そうならないためにも、自分に勝ち目がありそうなフィールドを「戦略的」に「選択」する。
それを「諦める」ことだと言っています。
「戦略」とは「トレードオフ」、弱点と強みを理解し、強みで勝負する。極端なことを言えば、勝ちたいから努力するよりも、さしたる努力せずに勝ってしまうフィールドを選ぶほうが勝率もあがります。
孫子は「戦わずに勝つ」ことを善としているようです。
そのように振る舞うには、まずは周りの評価に左右されずに、自分の物差しで「選択」し勝ちに行くこと、そして世の中は結局不条理であり、ウサイン・ボルトには勝てないんだと割り切ること、が大事です。
所感
夢を「諦める」のではなく、夢を達成するために戦略的に叶える方法を「選択」する。
この言葉/発想を知ることができたのは、今後の自分の人生において、とても大きいと思います。
1つの決断も、見る角度を変えれば感じ方がガラッと変わるものですね。
今の自分の夢は、日本サッカー界の発展に貢献することです。
これは、14歳のころから変わってません。
そのために、果たして「Jリーガーになる」という「手段」は自分にとって勝てるフィールドなのか? それについて今一度考える機会をあたえてくれる本でした!
応用
何かを諦めようか、迷うときは「戦略的」に「勝てるフィールド」を「選択」していくことを心がける!