読録16 “梅田悟司 ~ 「言葉にできる」は武器になる。 ~ “

読書記録、略して”読録”第16号は梅田悟司著書の 「言葉にできる」は武器になる。 という本についてです。

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個人的全体評価: (3/5)
読みやすさメーター: (4/5)
語彙の難しさメーター: (2/5)
ドキドキメーター: (2.5/5)
新しい価値観メーター: (3.5/5)
説得力メーター: (3.5/5)

この本に自分でタイトルをつけるならズバリ: とりあえず書いてみよう。

読書に至ったキッカケ

読録1の「読んだら忘れない読書術」、読録6の「語彙力こそが教養である」などを読んで、自分がこれまで思いを言葉にするという行程を軽視していたことに気付き、猛反省しました。

自分は人と話す時に、話している途中で伝えたいことをうまく口にすることができずに、後になって「あの時こう言っておけばよかったな」と思うのですが、その時にはもう後の祭りです。

そうならないためにも、伝えたいことをちゃんと言葉にできるように今からでもなりたい、と思っていたときにこの本を本屋で見つけたので購入しました。

要約

著者の梅田悟司さんが約250ページのこの本を通して読者に伝えようとしていること、それは

「言葉が意見を伝える道具ならば、まず、意見を育てる必要がある」 – p.26

「言葉は思考の上澄みに過ぎない」 – p.63

これに集約されます。

梅田さんは、この自分の意見のことを「内なる言葉」と呼んでいます。

「人は考えが浮かぶ時、言葉で疑問を持ち、言葉で考え、言葉で納得できる答えを導き出そうとしている」と述べ、この脳の中で行われている「考える」という過程において、人間は口には発せられていない「内なる言葉」を使っているのだそうです。

しかし、実際に口に出す「外に向かう言葉」とは違って「内なる言葉」は断片的であり整理されていないことが多いので、いざ話し始めた時に一貫性がなく、しどろもどろになってしまうことが多々あるようです。

これを「言葉にできないということは『言葉にできるほどには、考えられていない』ということと同じである」(p.35)とまとめています。

そして、言葉に重みがある人、話がすんなり入ってくるような話し方をできる人、人を言葉で動かすことができる人に見られる共通点は、話し方のテクニックに長けていることではなく、心から伝えたいということからなる「必死さ」「切実さ」を持っていることだと述べています。

また、言葉において大切なのは、人を動かす力ではなく、人が動きたい!と思わせる力であり、そのためには話し手と聞き手が志を共有しているかどうかで決まると論じています。

志を共有するためには、まずあなた自身が志に強い確信を持っていなければならない。

そして、その確信の強さは、どれだけあなたがその志と本気で向き合っているかに比例する、と断言しています。

それでは、「内なる言葉」と本気で向き合うということはどういうことでしょうか? 実際に何をすれば良いのでしょうか?

梅田さんはそのための「思考サイクル」を紹介しています。

梅田さんが提唱する「思考サイクル」には7つのステップがあるのですが、私なりに簡潔にまとめさせていただきますと、「とりあえず書いて整理しよう」ということになります。

その根拠として、人間の脳の思考プロセスの仕組みを梅田さんは説明しているのですが、彼によると人間の脳は「記憶域」と「思考域」の二つに大きくわけることができるそうです。

「記憶域」はあなたの記憶、つまり知識が蓄積されている箇所、そして「思考域」はそれらの情報を駆使して、文字通り思考する役割を持っています。

人は思考するときは、この「記憶域」と情報のやり取りをしながら「思考域」をつかって考えているで、要するに考えるためには「思い出す」過程を踏んでいるということです。

ところで、よくありがちな「考えが全く進んでいない」という状態は、無意識に「記憶域」の中を回遊してしまっている状態だそうです。

では、「記憶域」の中で迷走せずに「思考域」を使うためには、なにをすればいいか?

それは一度「記憶域」と「思考域」を切り離すことです。

つまり「内なる言葉」を書き出して、脳に考えるための余裕を与えることです。

そしてその「内なる言葉」を軸にして、考えを深めていくというわけですね。

梅田さんがオススメする書き出し方は、A4の紙に、もったいぶらず、大きく、表面だけにどんどん書いていくことです。

とにかく書く。吐き出す。

そして、一度全て頭から吐き出した後、机に広げてグループ化しながら並び替えていきます。

グループ化できたあとは、考えをさらに深めるために書き出した紙一つひとつについて詳しく思考していきます。

この一連ができるようになると、自分の「内なる言葉」と向き合うことができるようになり、結果、口にする言葉も伝わるようになるというわけですね!

所感

伝わるか伝わらないかは、話し方のテクニックではなく、伝えたい内容に自分がどれだけ真剣に向き合ってきたかに依る。というこの本のメッセージには納得させられました。

自分の経験からも、うまく話をできないときは、だいたい話している内容について自信がなかったりすることが多いです。

逆に、うまく話せたときは、それが頭の中でしっかりと整理されていて堂々と話すことができていました。

そして、人は思考するとき「記憶域」と「思考域」を組み合わせながら使っており、効率よく思考するためにはこの2つを切り分けること、そしてそのためにはひたすら書くこと、という教えは新鮮なものでした。

自分はこれを聞いて、「記憶域」と「思考域」を両方使いながら考えることは、片手にiPhoneを持ってクックパッドを見ながら料理しているようなものだな、と思いました。

これだと、注意が分散しますし、包丁もうまく使えず不自由ですね。

書き出すことによって、”両手が空いて”、余裕を持って”料理に集中”、または考えることに専念することができるわけです。

また、この本の趣旨からは少し離れますが、梅田さんは「書くこと」についても何度か触れており、まとめると

  1. 話すように書くこと – 硬すぎる表現にならないため
  2. 誰もが使う常套句を排除し、代わりに相手と共有する話題を使う
  3. 考えをまとめたうえで一気に書いて、のちに推敲(見直して余計な部分を省く作業)する
  4. 一度書いてみた言葉や文章を口に出して読んでみる

の4点に集約できます。

応用

  1. 一人で何か考え事をするときは(仕事で何か企画するときなど)は、A4サイズもしくは黄色Stickersを使ってとにかく書き出してみる
  2. ブログを書くときは、とりあえず一気に書いてみて、あとで修正を加えるという方法をとる
  3. メールを書くときは、常套句よりもInside Jokeやネタを優先的に使う。
  4. ブログをアップする前に音読してみる

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