もしあのとき、日本が3失点目を喫しなければ…
もしあのコーナーキックで、日本がCBの2人を攻めに上げなかったら…
もしクルトワがボールをキャッチしたとき、日本の選手の切り替えが0.5秒でも早かったなら…
いや、そもそも、もしあのとき本田がクルトワにキャッチされるようなCKを蹴らずにとりあえず延長に進んでいたら…
もしあの後半48分、日本がもっとスマートにプレーできていたなら、日本はPK戦に持ち込んで、史上初となる準々決勝に駒を進めていたのではないか…?
もっというと、もしあの早すぎた1失点目がなかったとしたら…
もしあのとき、川島が前にポジションを取りすぎず、しっかりとヘディングされたボールをゴールの外にはじき出せていたら…
そもそも、もしその一個前のシーンで、川島がちゃんとペナルティエリアの外までパンチングできていたら
日本はベルギーを勢いづけてしまうことなく、大金星をあげることができていたのではないか。。
いや、よく考えてみたら、そもそももし日本の対戦相手がベルギーではなくイングランドだったのならば…
もしあのポーランド戦、日本がベストな布陣で試合に臨み、勝ち点3を得ることができていたなら…
もしあのセネガル戦、川島が目の前の選手にむけてパンチングをすることをせず、失点を1におさえ、セネガル相手に勝利していたとしたら…
もし…なにか1つでも間違っていなければ、日本は次に勝ち進むことができたんじゃないか…
7月2日、ベスト16ベルギー戦 in ロストフナドヌー。
3失点目を喫した直後に試合終了の笛がなり、崩れ落ちる日本イレブンを観客席から見つめながら、僕は一瞬でも勝てるのではないか、と希望を持たせてくれた日本代表が敗退したという結果を素直に受け入れられず、ただスタンドに立ち尽くしてしまいました。
悔しい。。
とにかく悔しい。。
自分がサッカーをプレーする側ではなく、見る側になってから初めてこんなに悔しい気持ちを味わいました。
何がいけなかったんだろう。。
頭をよぎるのは、試合を決定づけることになったシーンの数々。
その1つひとつで、日本の選手がもし違う判断をしていたとしたら、きっと違う結果になっていたんじゃないか。
サッカーの世界に「たられば」をならべてもしょうがないのは、言われなくてもわかっているのですが、そうせざるをえない、試合終了のホイッスルから丸2,3日間、そんな気持ちでした。
数分ごとに試合結果を思い出しては、「あーーー、なんであのときできなかったんだよ!」とはらただしくなり、やるせなくなりました。
とにかく悔しい。。
あれから3日が経ち、ようやく気持ちが落ち着いてきました。
6月24日のセネガル戦から、先述のベルギー戦まで日本代表を追ってきましたが、今はようやく日本への帰途についております。
女々しく後悔の音ばかり吐き出させていただきましたが、今回私も含めて、日本が得たこと、学んだことは多かったと思いますので、まとめてみます。
まず1つは、日本の選手が正しい指導者のもと、強いメンタリティをもって試合に臨むことができたら、あの強国ベルギー相手にも十分勝機を感じさせる試合を展開できるレベルに日本があること。
W杯開幕2カ月前のハリル監督解任は、その是非はともかく、結果的には良かったということになるのでしょうが、もしこの先の4年間、日本にとって最適な指揮官を選び、2022年カタールW杯にむけて最善の準備をすることができたら、日本は実はかなり先までいけるのではないでしょうか?
もちろん開幕戦vsコロンビア開始2分、神様からレッドカード + PKという、「半端ない」プレゼントをいただいたことから幸運続きであった今回のW杯であったのはたしかなのですが、この先4年間正しいアプローチを着実に踏むことができたなら、カタールではもっと先までいけるかもしれません。
2つ目は、サッカーはやはり「ミスのスポーツ」である、ということの再確認。
ミスというのは、なにもボールのコントロールミスだけをいうのではなく、プレーごとの「判断ミス」も含みます。
そしてミスを最小限におさえるための方法の1つが、コンディショニング、もう1つが「経験」です。
ポーランド戦で主力をある程度休ませてから臨んだベルギー戦、選手のコンディションは良さそうに見えました。
やはり、どのメディアも指摘する通り、今回のベルギーと日本の差は、体が大きいとかそういう問題より、「経験」の差であったように思えます。
(注: ただしフェライニのでかさは反則的…笑)
「もしあのとき…」
こういった「たられば」を減らしていくには、経験をつんで瞬間瞬間での判断ミスを少なくする必要があります。
経験には「個」としての経験、さらに「チーム」としての経験、両方あると思います。
あの日本の3失点目、クルトワがボールをキャッチした瞬間、誰よりも動き出しが早かったのはデ・ブルイネ、アザール、そして得点を決めたチャドリ選手でした。
プレーに関与したクルトワ、アザールはChelsea, デ・ブルイネはManchester City、ルカクはManchester United、そして圧倒的なスプリントで乾をおきざりにしたチャドリはWest Bromwichで日々プレーしています。
これらの選手が、世界随一のインテンシティと評されるプレミアリーグで日々しのぎを削りあっていることと、あの後半48分に試合を決定づけるカウンターを炸裂させたことには、揺るがない因果関係があることでしょう。
彼ら一人ひとりが「個」として、クルトワがボールをキャッチしたときに「今こそが日本の息の根を止めるときだ」ということを瞬時に察知したに違いありません。
頭で考えているより、体が勝手に反応した。
そんな風に見えたカウンター攻撃の出だしでした。
また、日本代表は「チーム」としてあのような精度でカウンター攻撃をしかけてくる相手との対戦経験に欠けていたと思います。
試合後、西野監督はインタビュ-でCKからのカウンターについて問われたときに
「正直あのようなカウンターは予測できなかった」と赤裸々に語ってます。
要するに、ああいう痛い目に日本代表があったことが今まであまりなかったからでしょう。
さて、それではどうすれば「個」として、「チーム」としての経験値をあげることができるのか?
「個」の話をすると、まずは世界のトップリーグで活躍できる選手を引き続き輩出していくこと。
1998年のW杯初出場から2018年ロシアW杯まで、海外組の人数は毎回右肩上がりに増えてはいますので、このトレンドを続けること、あとはDortmundでプレーする香川やAC Milanでプレーした本田のように、レベルの高いチームに移籍していくことも重要です。
また、Jリーグのレベルをあげることも同じくらい重要です。
クラブ運営の側面もあるので、言うほど簡単ではないのは百も承知ですが、各チームが結果が全てのサッカーではなく、クオリティが高く、最前線のサッカーを展開し対戦する回数を増やすことができれば、おのずと世界との距離は縮まるのではないでしょうか?
そのためには、選手の育成より実は監督、コーチングスタッフの育成およびハンティングがより重要なのではないか、と個人的には考えてたりします。
海外の強国と日本の差がどこにあるのかを真に理解した指導者が今後増え、ユース世代から変革を起こすことができれば、日本のサッカーのレベルは底上げされるでしょう。
「チーム」としての経験値のあげかたに関しては、これはもう日本サッカー協会に頑張っていただいて、日本が組む国際試合の対戦相手の質を高めることが一番手っ取り早いでしょう。
アジアカップに優勝し、コンフェデレーションズカップに参加することはもちろん(あれ、でもこれって無くなるって話でしたっけ…?)、その他親善試合でも、なるべく本気の強国とプレーできる機会が増えれば、日本代表はより強くなるでしょう。
長くなりましたが、ロシアW杯から個人的に読み取った教訓は
1に、正しい監督を呼び、4年間チームをじっくり成熟させれば世界でも戦えること
2に、「個」としての経験をあげるために海外チーム、できれば強豪チームにどんどん選手を送りながら、国内リーグの試合のクオリティもあげるために指導者育成をすすめていくこと
3に、強豪国を相手とした日本代表の試合を増やすこと
この3つが日本サッカー界の課題だと感じました。
これらを克服し、4年後は我々日本人が「もしあのとき…」と嘆くことをせずにすむことを祈ってます!
さて、ところでこんなに偉そうに語っている私は一体何様なんでしょう笑
プレーヤーからファンになり、サッカーとの関わり方がいまいちピンと来てません。
現在はまったく違った業界で仕事をしており、それにものすごいやりがいを感じており、日々充実した生活をすごしておりますが、長い目でみた将来、いつか自分も日本サッカー界に貢献できる人になりたいな。
そう素朴に思うことができた、そんな今回のロシアW杯でした。
ロシア、行ってよかったです。
人生でこんなに感情移入できるものって、やっぱサッカーしかないですね!!
最後に補足ですが、ロシアW杯での一番の教訓を告白させていただきますと、本当に「半端ない」のは大迫選手の後ろ向きのトラップでも、今回の日本vsベルギーの熱すぎる試合でも、クリロナのスペイン相手の3得点でも、韓国がドイツを破ったことでも、メッシを黙らせたムバッペの速さでもなく、ロシア美女のクオリティとクオンティティでした。
ロシア半端ないって!!!!
普通そんなに美人ばっかおらへんじゃん!!!
あーおそロシア。
もうブログは更新しないの?
寛生の夢を陰ながら応援するものとして、更新楽しみにしています。