読書記録、略して”読録”第18号は岩波書店出版で 「いい人に会う」編集部編 の こころに響いたあのひと言 という本についてです。
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この本に自分でタイトルをつけるならズバリ: 私という人間を形作った瞬間・エッセイ集
読書に至ったキッカケ
先だって、斎藤孝さん著書の「語彙力」こそが教養であるを読んだときに、恥ずかしながら初めてエッセイという本のジャンルがあることを知りました。
エッセイと聞くと、アメリカに8年間住み学校に通っていた私にとっては、徹夜して書きまくったessay(日本語で言うところの論文)をどうしても思い浮かべてしまうのですが…日本語のエッセイとは随筆、つまり体験や見聞、日常的なことを自由な形式で書き記した文章のことですね。
自分はこのエッセイというものに目を通した経験が一度もなかったので、新しい世界を知るためにもとりあえず試しに一回読んでみようと本屋に行って、一番面白そうなものを購入してきました。
要約
このエッセイは、各界で活躍中の52人がタイトルにもある「こころに響いた、あのひと言」をテーマに、3ページでとてもシンプルに、しかし本質を突きながら読者に紹介してくれます。
本書に投稿を寄せた52人は、作家から織田裕二さんなどの俳優、岡田武史さんなどのサッカー監督、さらには衣装デザイナーや医師、登山家など、とても幅広い層から選出されています。
職業は違えど、52人がここまで歩んできた人生の中で慕っているメンターや頼りにしている友人、仕事仲間、或いは偶然出くわした人などから、ふとかけられた「こころに響いたひと言」がぎっしり詰まった一冊です。
十人十色といいますが、52人もいたら、人生で感動を覚える瞬間も52通り分あります。
本書では、人生の岐路となったような大きな出来事を紹介する人もいれば、いたって普通な日常のなかで見つけたとても些細な瞬間を紹介する人もいました。
170ページほどありますが、3ページごとにストーリーが変わるので、読んでいて飽きない本です。
所感
一度読み通しましたが、読みかえす度にまた新しい発見があるんだろうな、そう思えた1冊でした。
現に、今このブログを書くために本書を軽く読み返していますが、初めて読んだときとは違った気づきがあって面白いです。
この場を借りて、52人の中でも個人的に一番気になった岡田元日本代表監督による投稿を紹介します。
岡田さんが早稲田大学の学生時代に受けていたゼミの先生である堀江忠男さんという方は、ベルリン・オリンピックのサッカー日本代表の元選手であったらしいのですが、そんな彼がいつもいっていた言葉に
「サッカーは自分にとってなくてはならないものだが、一番大切なものではない」
というものがあったそうです。
ある日、岡田さんが堀江先生の家にお邪魔すると、そこには普段は厳格な先生が幼い子供と戯れる姿が。
そこで、岡田さんが堀江先生に「先生がいつもおっしゃられている一番大切なものって、ひょっとしたら愛ですか?」
と聞いてみたところ、
「そうだ、俺は『人類愛』のために学問をやっている」
と答えられたのだそう。
それを機に、岡田さんは「岡田の愛の五段階級」と自称する持論を持つことになったそうです。
第一段階は自己愛
第二段階は他人を愛する恋愛
第三段階は家族愛・友人愛
第四段階は人類愛
そして、第五段階は地球愛
この五段階級に則ることで、自分がどのレベルで物事を考え、生きているのかを客観的に捉えるようにしているそうです。
階級が高くなればなるほど、影響を与える人の数も増えていきます。
自分はどれだけの人を対象に愛を与えていることができているのだろうか。
そんなことを常に意識しながら岡田元日本代表監督は毎日生活しているのでしょう。
より大きな人に愛を与える。そんな岡田監督のこころ行きの深さに器の大きさを感じずにはいられません。
応用
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- 嵐山光三郎さんという作家の方の挿話に、電話は「それでは」で終わると爽快感がある、と書かれていました。
妙に納得したので、これからも自分は「それでは」で電話は終わるようにしたいと思います。
- 嵐山光三郎さんという作家の方の挿話に、電話は「それでは」で終わると爽快感がある、と書かれていました。
- 本書は、冒頭でも述べた通り、いつ読み返しても新しい刺激があるような1冊だと思うので、今後引越したりしても捨てないで、常に本棚に置いておく、そんな1冊にしようと思います!
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