シンゴジラ 感想

新・ゴジラ? 真・ゴジラ? 神・ゴジラ?


シンゴジラ

そんなしょうもないことでずっと気にかけていた、噂の映画「シンゴジラ」を昨日鑑賞しに映画館まで行ってきました。

その前日にはこんな記事を読んで1人で笑ってたりしていたんですが、その映画の内容はまさに日本軍隊および政府を主役とした、とてもメッセージ性の強いものでした。
2時間弱の映画だったと思いますが、ずっと緊張感と重厚感がただよっていて、2時間ぶっ通しで前のめりになって見てしまいました!その内容に圧倒され、私の心は「震・ヒロキ」になってました。はい。

さて、この先はネタバレも含まれるので、まだ「シンゴジラ」をみてない方はここでStopして下さい!

ゴジラ = 東日本大震災??

この映画を共に見た友人も言っていたのですが、この映画は、戦争をきっかけに核物質と密接につながっている日本の有り様を、ゴジラというツールを利用して世界に訴えかけているように感じ取れました。

特に、自分が巧みに描写されてると思ったのが、東日本大震災が起きた時の日本の政府の対応とその無力さです。

東日本大震災が起きた時に、一番国民の怒りをかったのが、福島第一原子力発電所の故障が発覚した後の放射能に関しての政府の情報操作。
国民に真実を伝える義務と、偽りの情報を流すことで混乱を防ぐことの狭間で葛藤し、結局漏洩した放射線量についてウソをついた東京電力と日本の政府は、日本国民だけではなく世界を欺き、大バッシングを受けました。

あのとき、政府はなぜあのような対応を取らなければいけなかったのか?その裏側では、誰が何を取捨選択して、あの決断に至ったのか?

「シンゴジラ」では、まずゴジラ第一形態が川を這いながら日本列島に上陸します。このときに、津波を起こし車も橋も建物も流されました。これは東日本大震災における津波の被害と一致しますね。

そのあと、主人公矢口はゴジラが通ったところを中心に放射能が高まっていることを発見します。これはまさに、東日本大震災における第2次災害である原発問題と重なりますね。

そして、「シンゴジラ」では、ゴジラそのものが、核物質を食すことで成長した、巨大な放射性物質という設定になっています。下手に攻撃すると逆に怒りを逆なでして危険ですし、駆除するにも放射能を東京に拡散しない方法をとるしかない。福島第一原子力発電所も、その処理の仕方が一筋縄ではいかないことが問題になりましたね。

結局矢口チームがとった、なんとか作戦もゴジラを冷却するという作戦で、福島第一の原子炉の活動を海水を使って冷やして停止させたことと、とても似ていますね!

これだけを見ても、「シンゴジラ」でのゴジラ上陸は、東日本大震災をゴジラという自然災害という別の角度から表現したものと解釈することができるのではと思います。

シンゴジラでの日本政府と、東日本大震災での日本政府

先ほども述べたように、東日本大震災直撃後の日本政府の不適切でいい加減な対応は、批判の対象となりました。

なかなか下されない意思決定、権力争い、情報操作など、日本政府における様々な問題がニュースでも毎日のように取り上げられていましたが、「シンゴジラ」ではそのような政府の様子が、少しコミカルに表現されていました。

どこかとぼけているところがあるけど、憎めないキャラの総理や、権力争いに溺れながらも最後はフランスと交渉し大きな役割を果たした臨時総理などは、まずキャラ設定が少し面白おかしくされていましたね。
そのほかにも、表情の1つ1つをとってみても、どこか大袈裟でふざけているような、そんな演技でした。

しかも、結局最後はいわゆる「いいやつ」で終わったので、政府の人間もみな根はいいやつなんじゃん、という印象でみな映画を見終えることができたのではないでしょうか?

ただ、そういうコミカルさで包みながらも、予測不可能な事態が起きた時にマニュアルがないと動けない自主性のなさや、何事にも上の許可を得ないと行動に移せない縦割り社会の脆弱さを、しっかりと描いていました。

そうやって、ソフトではありながらも、日本政府のダメなところを庵野さんは写していました。

日本を救うもの

東日本大震災の日本とそれほど似せておいて、結局庵野さんは私たちになにを訴えかけたかったのでしょう?

私は、結局は1人の勇気が日本を救うことができる ということを伝えたかったのでは?と感じました。

シンゴジラでは、主役であってヒーローでもあった矢口がその役でしたが、彼が自分の立場に縛られず、自分の信念を他人のために突き通すことができたから、矢口チームが誕生し、ゴジラ氷結までに至ることができました。

もちろん、矢口チームで大活躍だった技術者や研究者たちの活躍も見逃すことはできません。
しかし、その個人の集まりも、1つのチームになって初めて力を持ちます。
そして、矢口にはそのチームを作りまとめるための人脈とリーダーシップがありました。

しかし、それら全てを差し置いて、矢口が持っている一番大切な素質、それが「勇気」です。

日本国民への被害を顧みず、核兵器を使ってのゴジラ駆除を考える米国率いる国連軍にも怯えず、矢口プランを無理やり押し通す「勇気」。
それより遡れば、一番はじめの会議のシーンで、周りの権力者たちに恐れず自分の意見を述べた矢口の「勇気」。
結局、彼の言っていたことが正しかったことが周りから認められ、矢口チーム編成にまで至りました。

1人の男が勇気を持って信念を突き通すだけで、国を救うことまでできるのですね。

もしかしたら、東日本大震災のときも、矢口のように「勇気」をもって日本を動かした政治家が、いたのかもしれません。あるいは、これからはそういう政治家が必要だという、庵野さんからの期待をこめた日本政府への、そして私たち日本国民1人1人へのメッセージだったのかもしれませんね。

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