読書記録、略して”読録”第14号は著書の 「気遣い」のキホン という本についてです。
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この本に自分でタイトルをつけるならズバリ: 一緒にいたい! と思われる人になろう
読書に至ったキッカケ
日本に8年ぶりに帰ってきてから1年が経ちますが、この1年で何度「お前は本当に気が利かんやつだな〜」と言われてしまったことか。。
最初は「気遣い」というのは日本の文化であって、国外に8年住んでいた自分にそれができないのは仕方がない、と自己防衛していましたが、よく考えてみると自分とおなじ境遇にあっても気遣いができる人はできますし、親にその話をしてみたときも「いや、あなた案外と昔からそうだったよ」と言われてしまう始末…(苦笑)
でも、そんな自分を変えたかったので、とりあえず本屋で「気遣い」についての本を探してみたところ、この本が一番しっくりきたので購入に至りました。
要約
筆者の三上ナナエさんはANAのCAとして4500回以上のフライトを重ねた経験のある方で、この本はそんな彼女のCAとしての経験談を混えながら気遣いの心得についてまとめたものです。
そんな彼女は、
気遣い = “相手の気持ちを想像し、思いを伝えること”
と定義しています。
そして、気遣いというものは「自分がどう思われるか」ではなく「相手のためになることを思うこと」が出発点だとしています。
そのためには、まず相手の心情に寄り添うこと、相手の気持ちを察すること、常に相手の目線からも物事を見るように意識がけることが大事です。
マザーテレサが「愛の反対は憎しみではなく無関心です」と言っているように、気遣いが出来ない人は他人に関心を持ててない人が多いようです。
そして相手の気持ちを想像した後は、思いを伝えます。
思いを伝えるということは、相手のためになると自分なりに考え行動するということです。
本で紹介されていたいくつかの例を見ていきます。
挨拶について
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- 挨拶に「気」が入っている
挨拶に魂を込めろ、つまり建前の挨拶をするな、ということですね。
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- 挨拶の後に「気遣いの言葉」が添えられている
相手が考えすぎず、すぐに答えられるような投げかけの一言が大事としています。
「おはよう、昨日どうしたの?」よりも、「おはよう、もう大丈夫?」の方が、挨拶されたほうもいきなり重い会話をせずに済む上に、気にかけてくれて嬉しいとう気持ちになれます。
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- 自分から先に挨拶をする
挨拶は先にしてこそ価値があり、相手の挨拶に対して返すのはただの「返事」だとキッパリ言い放っています。これはANAの教えだそうです。
また、三上さんは挨拶が上手な人は「話しかけやすい人」になれる、とも言っています。
報連相について
連絡には「漏れてはいけない連絡」と「伝えた方がいい連絡」の2種類があり、後者こそが「気が利く連絡」だと三上さんは述べています。
人は知ることで安心感を得ることができるので、こまめに相手が知っておいた方が得することを連絡するのは、相手のためになるというわけですね。
また、特に上司との報連相においては、こまめに報告すること自体が気遣いだとしています。
なぜなら、上司には部下の状況を把握する役割と責任があるからです。
何かを知らない、ということは不安につながるので、上司を不安な気持ちにさせないように、という気持ちが働くと自然に報連相ができるようになります。
そして、報連相の「相」である相談を誰かにした際は、事後報告を忘れずにすることも大事な気遣いの1つであると述べています。
これなしでは、感謝の気持ちは伝わらずに終わってしまいます。
また、相談された相手もきっとその後どうなったか気にかけていると思います。
繰り返しになりますが”知らないことは不安につながる”ので、相手を不安にさせないためにも事後報告は大事です。
レストランで
「すいません」という便利な言葉があります。
これは謝罪の「申し訳ありません」の意味もありますし、「ちょっとお願い」など人の注意を引くためにも使われます。
「すみません」という言葉にはたくさんの意味があって便利な反面、感情がこもっていないように聞こえるという短所もあります。
三上さんは、ANAで「すみません」という言葉をなるべく使わないようにしていたようです。
例えば、レストランで店員さんを呼ぶ際は、「すみません」ではなく「お願いします!」といえると素敵だと言っています。
また、これは別段レストランに限った話ではないのですが、人は名前で呼ばれると特別扱いされているようで嬉しく感じ、また心理的にも近くなったような感覚が起こるらしいです。
よく通うレストランのマスターや店員さん、または営業先のお客様を肩書きではなく名前で覚える、ということは相手との距離間が縮まることにつながるそうです。
会話の中で
同感よりも共感を! と三上さんは言っています。
同感し、同調することはときには相手を不快にさせることがあります。
たとえば、相手の愚痴を聞いているとしましょう。
そのときに「私も同感です」「私もあなたの奥さんが悪いと思います。」「あなたの友達はひどいやつですね」などと言うと、その人は逆に身内を否定されて不快な気持ちになることがあります。
ですので、その人が言ったファクトに同感するのではなく、その人の気持ちに共感することが大事だと述べています。
「それはガッカリしましたよね」「それは大変でしたね」などといえば、相手は自分の気持ちを受け取ってもらったと感じ、安心感を得ることができます。
また、会話をするときは顔だけではなく、へそとつま先も相手の方を向けて話を聞くことも重要だと述べています。
相手の話を聞く態度が悪いと相手の気を損ねてしまうかもしれません。
逆に、椅子に座っていたとしても体をちゃんと相手の方に向けて聞くようにすると、相手も気持ち良く会話をできるでしょう。
差し入れについて
自分がなにか差し入れをする際は、机にポンとまとめて置いておくのではなく、一人ひとりに手渡しして回ることを推奨しています。
なぜなら、それがコミュニケーションの機会になりますし、相手からいちいちお礼を伝えにくる手間を省くことにもつながるからです。
“何かを渡すという行為の目的は「物」を通じて気持ちを伝えたり、距離を縮めること”だと三上さんは述べています。
いい機長は皆そうしていたのだとか。
たかがお菓子、されどお菓子 です。
所感
実のところをいうと、自分はANAではなくJAL派なのですが、思い返してみればAmerican AirlineやBlue Jetなどの国外便と比べてるとJALのCAの気遣いというか、サービスは全く種類が違います。
国外のCAは、こちらが必要としたときにだけ何かしてくれる。手をあげたら来てくれる。そんなイメージです。
その一方、JALは常に自分にこちらが何を必要として何を必要としていないかを気にかけてくれているイメージです。それが度を過ぎると、確かに下手な営業マンみたいにかえって邪魔で迷惑になるのですが、そんなケースは少ないです。
一度、自分がNY-成田間の14時間の便に乗っていたとき、熟睡しすぎて夕食と朝飯の2食分スキップしてしまったときがありました。
ようやく目覚めたときに、すぐCAの人が気付いてやってきて「お腹空いてますよね」とおにぎりを持ってきてくれました。
これには心が温まりました。
さて、正直今回この本を通して学んだ「The 気遣い techniques」は習慣化しなければきっとすぐ忘れてしまうと思います。
それよりも、本質はやはり「相手のためになることを思う」を常に心がけることだと思います。
これは、アドラー心理学でいう、他人に貢献することに幸せを覚えること、が自然にできているかどうかに依るものだと思います。
気遣いができる人は、常に相手のためになりたいと思い、言動を選んでいるのでしょう。
応用
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- 相手を知ろうとする
特に初対面の人に会ったときなどは、まずは相手をよく知ろうとすることから始めたいと思います。その人を知れば、その人が何を求めているのか、何をされると嬉しいのか把握することができ、相手にとって一緒にいて居心地の良い人になれると思います。
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- 自分から先に挨拶をする!
これはもう早速やり始めているのですが、やってるこっちが何だか気持ち良いので続きそうな予感です!
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- 上司にはこまめに報告をする
「上司には部下の状況を把握する役割と責任がある」です。別に上司が知る必要性がない事柄でも、知っておいたらもしかして得することもあるかもしれません。
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- 事後報告を忘れずに
自分にはメンターと呼べる人が数人いますし、わりとすぐ人に相談しにいくタイプです。
そのあと、アドバイスをもらって事後報告なしでは、その人を利用しただけみたいになってしまいます。
うまくいかなくても、うまくいっても、何も起きなくても、その旨をしっかり報告するようにします。
そのために、誰かに相談を聞いてもらった際は、iPhoneのメモ機能などに書き留めておいて、相談したという事実を形に残しておきたいと思います。
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- レストランでは「すいません」ではなく「お願いします」
ちょっとおしゃれですしね、こっちの方が。
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- お願い事をするときは、相手の方に顔、へそ、つま先を向ける
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- 差し入れをする際は、一人一人に手渡しする。
Partyなどにビールを持っていくときも、これをしようと思います。
異性と会話を始めるよいチャンスになるかもしれませんしね(笑)
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